中国留学情報

有名な大学が良い?

留学する大学を選ぶとき、
いろんな人がいろんな理由で大学を選びます。

もちろん本人にとっては重要な理由なのでしょう。
ただその中には正直なところ、
「ちょっと違うんだけどなぁ」
と思ってしまうような理由もあります。

その最たるものが、これです。

「有名大学であること」
「大学の知名度が高いこと」
「いわゆる偏差値が高いこと」

北京大学、清華大学、復旦大学といった、
いわゆるエリート大学を希望される方が少なくありません。

これ、語学留学先の選び方としては、
実はまったくの間違いです。
今回はこの点について考えてみましょう。


「中国語を勉強するので有名大学に留学したい!」
そういう方に一つ問いたい。

「東大に留学すれば日本語が上手くなりますか?」

例えば、法律とか経済とか医学とか、
そういった専門科目を学ぶならば話は別です。

北京大学を始め、中国のいわゆる有名大学は、
中国の最高の叡智を結集した大学です。
優秀な研究者が集まり、膨大な経験と知識が蓄積されています。
専門科目を学ぶならば、最高の環境でしょう。

ですが、
北京大学も復旦大学も、語学教育機関ではありません。

日本ではほとんど知られていないことなのですが、
中国の大学の語学留学生部門は、
大学本体とは独立した運営になっています。

「東大のキャンパス内にNOVAがある」
そんな感じにイメージしたほうが実態に合っています。

ですので、清華大学本体はスーパー優秀です。
でも、だからといって、
清華の語学留学部門が、本体並みに優秀な教員を集めた、
中国トップの語学教育機関というわけではないのです。

偏差値の高い大学に入れば、
語学力が身につくわけではありません。
このことはしっかり理解して下さい。


それから、
「有名大学に留学すれば就活に有利」
と思っている方もいます。
ですが、それは100%ありえません。

清華や復旦に入学試験を受けて入り、
専門科目を4年間学び、
卒論を書いて卒業資格を得る。
それならば話は別です。

中国最難関の大学に合格し、
最高レベルの大学で4年間勉強し、
卒論が認められて卒業資格を得る。
そりゃ、東大京大並みに評価されるでしょう。

ですが、語学留学で学ぶのは語学です。
専門科目ではありません。

もちろん、語学が就活で評価されないとは言いません。
むしろ積極的に評価されるでしょう。

ですが語学の場合に就活で評価されるのは、
結果としてどれだけの中国語を身に付けたかです。
どの大学で学んだかではありません。

復旦に語学留学してろくすっぽ話せない人より、
無名大学に留学してペラペラの人のほうが、
中国語の能力は高く評価される。
大学名は関係ありません。

さらに言えば、
「語学留学に入学試験はありません」

つまり、入学申請をして学費さえ払えば、
誰でも清華や復旦の学生になれるんです。

無試験で入って、中国語だけ1年学んで、
卒論も何もなしで修了する。
もちろん、卒業資格も何もなし。

それで清華や復旦の卒業生並みに評価され、
就職活動で有利になるほど、
企業の人事担当者はバカじゃありません。

それで有利になるような企業って、
逆にヤバイですよ。笑


「人脈を形成できる」

これはハズレではありません。
優秀な人材との人脈ができる。
それ自体は確かにムダにはならないでしょう。

ただ、復旦の卒業生すべてが成功するわけでもない。
1学年1万人前後いるわけで、
やたら人脈を作ったところで効果は不確実です。

なにより、
人脈とは相手に使ってもらうものであり、
自らが利用するものではありません。
百歩譲ってギブアンドテイクです。

相手にとって人脈として利用してもらえる価値。
自分にはそんな価値はない。
相手に与えられるものを持っていないのに、
自分が一方的に人脈として使うことだけを考えている。

優秀な連中に人脈を作っておけば、
いつか便利に利用できるかもしれない。
だから人脈を作っておこう。

そんなスケベ根性丸出しの人に、
私ならば自分から近づこうとは思いません。

いずれにしても、専門科目を学ぶ留学は別として、
中国語を学ぶ語学留学に関していうと、
有名大学が有利というのは間違いです。


ついでに外国語大学について。

「外国語を学ぶのだから外国語大学が有利」
これも間違いです。

確かに外大本体は外国語教育のノウハウを持っています。
ですが、有名大学についてでも書いたように、
大学本体と留学生部門は独立した組織です。
両者間の学術上のノウハウの交流は皆無です。

これって本当にもったいないんですけどね。
私は今まで数百の大学を見てきましたが、
本体との間でノウハウの交流をしている大学は、
一校も見たことがありません。

ですので、外大だから中国語教育が上手い、
というのは、実は事実とは異なるんです。

また、
「外大は日本語を学ぶ学生が多いので、
互相学習の相手を確保しやすい。」

これも一概には言えません。

例えば、
大連外国語大学と上海外国語大学。

確かに日本語学科はあります。
大連外大の日本語学科とか全国的に有名です。

ところが、
両校の日本語学科とも、
郊外の新キャンパスにあります。

留学生が学ぶ市内の旧キャンパスからは、
バスや地下鉄で2時間前後かかります。
実は、非常に互相学習をやりにくい大学なんです。


「有名大学」
「外国語大学」

確かに記号としては分かりやすい。

でもね、
大学選びで手抜きしたらダメなんです。
分かりやすいラベルで選んじゃダメなんです。

有名大学だからといって、
中国語の教員が優秀ってわけではありません。

外大だからといって、
互相学習がしやすいわけでもありません。

うわべで選んではダメです。
安易にラベルで選んだら失敗します。

うわべではなく本質を見る。
大学名ではなく内容を見る。

それが大学選びです。

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【今週のまとめ】
1) 有名大学だから良いわけではない
2) 互相をしにくい外国語大学もある
3) うわべではなく本質で大学を選ぶべし
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